利益の共有ができることを示したものの勝ち
RFID活用が期待に比べて広がらないのは、RFIDを活用することで得られる利益より費用の方が大きいためである。
と言い切ってしまっては身も蓋もないのだが、導入効果の多くを得られるのが川下の企業である一方、ICタグの貼り付け等の費用を負担するのが川上の企業だったりするのだから、サプライチェーンの中での活用が難航するのもむべなるかなというところか。
まあ、大手企業が、取引の停止をもちらつかせたりしながら下請の「自助努力」を要求するという図式は今に始まった話ではないのだが、ウォルマートは既に部分的運用を開始しているデータの蓄積があるのだから、本来はそれを利用してサプライヤーと共有する利益を語ることができるはずだが、まあ、それができるほどに上手くは行っていないのだろう。Win-Winモデルの提示がなくても、こういう取組の中から「自助努力」で利益共有を実現できるサプライヤーが出てくるのだろうか。
ウォルマートは2008年1月、約1万社の全サプライヤにICタグ張り付けを要請するレターを送付した。その概要を今回、公の場で初めて明らかにした。
【RFID Journal LIVE!】「全商品にICタグを付けて」と米ウォルマートが宣言、対応しないと“罰金” | 日経 xTECH(クロステック)
システムの採否はどこで決まるか
データアクセスコントロールにLFを利用した事例だが、一般的にはHFを利用してのシステムが多いので、興味を惹かれて読んでみた。
既存の入室管理システムで利用していたLFのカードを兼用できることが採用を決める一つの理由であったことは確かだと思うが、結局のところ、こういうことが決め手になるのだろう。自分がユーザーの立場ならば、もちろんそうだ。
According to Wilhelm, Encentuate has worked hard to meet the hospital's needs. "I find that they listen to what the institution has to say about what would make the product better," he states, "and so they are coming out with versions and releases that will take care of what I need. Whereas some of my concerns with the bigger [security] companies is that I was often told I would have to wait six months for a new release that would take care of the issue."
RFID JOURNAL : N.J. Medical Center Uses LF Tags to Protect Patient Records
ICホログラム
http://www.toppan.co.jp/news/newsrelease679.html
展示会に出展されていたらしいが、残念ながら見逃してしまった。
デザインバーコードや、カラーコード、電子透かしの利用等も含め、情報を表示するスペースをデザイン化し付加価値をもたらす製品は、新たな市場を生み出す可能性がある。
情報それ自体は不可視なRFIDであるが、インレイをベタベタ貼ってしまうことが許される場合は良しとしても、インレイのサイズが問題になったり、タグにチップの厚みで生ずるわずかな段差がファッションアパレルメーカーの要求する水準を満たさず、商談が進まなかったりするケースは少なくない。
9月出荷とのことだが、このコンセプトでは個別商談毎にアンテナデザインまで違ったものになるはず。現状、既にサンプルの入手も難しいようだが、おそらくは、よくある「タグのサンプル1000枚とR/Wの組み合わせ一式」のお試しセット様の商品が出されるのではないか。
受注生産で、価格は個別見積もり。出荷当初の1枚当たりの価格は50円程度だが、生産量を増やすことで、単価を下げていきたいという。「2010年までには、1枚当たり30円を切る価格で提供したい」(凸版印刷 情報コミュニケーション事業本部 セキュアソリューションセンター 部長の小沢達郎氏)。
http://www.itproexpo.jp/article/NEWS/20080228/294999/?ST=ittrend
という価格で実際に出荷できるならば、十分に実用化が可能な範囲と思われる。(見るところ、月産1億枚が前提とは書いていない。あるいは、個別アンテナデザイン料金は別というオチか?)
さあ、何に使おうか?と夢を膨らませてみよう。
美術館での情報提供端末
美術館、博物館で
展示物の情報把握
きめ細やかな情報を提供できます
展示スペースにICタグを取り付けることで、作品にまつわる付加的な情報をPDAなどに配信できます。
オムロン ソフトウェア株式会社
美術館や博物館にて、情報端末として利用する案は、わかりやすい応用事例として
よく紹介されているし、よく実証実験の題材にも採用されるところだ。
しかし、閉じた施設内での実利用事例としては、図書館の貸出管理事例ほど広がりを見せてはいないようだ。
まあ、定型のデータの登録さえ終われば実現できてしまう本の貸出管理と比べても仕方がないが、これが決定打というような実現方式が出てきていない。
HF,UHFを利用して中距離から読み取るか、あるいは、情報端末をリードポイントにタッチするかで、使い勝手が違ったソリューションになりそうだ。
同様の事例では、RFIDでなくとも、赤外線等を使ったソリューションも実用化されているし、近接ということならば、バーコードでもよさそうだ。
DSや携帯電話も、情報を受け取る端末の候補としては捨てがたい。高額な専用PDAを必要としないだけで、システム導入のハードルは大きく下がる。
さて、サービスを実現するのに、どういう手段を選択するかが重要なポイントであることは確かだが、高額な費用を掛けたソリューションを導入する以上は、それを利用することで、目の前にあるホンモノの美術品や動物を味わうという体験の邪魔をすることなく、より一層の満足感を与える必要がある。
そのような魅力的なコンテンツを構築することが簡単ではないというのが、実用例が増えない原因なのではないか。
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自動車部品の洗浄ラインでの事例
中見出しの、
automotive supplier Continental AG has replaced its card-based kanban system with RFID.
RFID Journal : RFID Helps Continental Clean Up Its Operations
に引かれ読んでみたのだが…
それはさておき、耐環境性能の高さ、同時読取可能による複雑工程・少量多品種管理の容易さという、RFIDの特徴を生かした事例ではある。